まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「今年前半はマイナス金利解除によって金利上昇が期待される一方で、後半は各国の利下げによって日本の金利も下がっていきそうです。現在+0.71%の長期金利は1年後に上昇すると思う?低下すると思う?」では・・・
1位:上昇する 45%
2位:変わらない 27%
〃:低下する 27%
となりました。1位は「上昇する」で5割となっています。なるほど。
筆者自身は確かに今年前半は「マイナス金利解除」などの金融緩和縮小によって金利が上昇するのではないかと思いますが、年後半についてはアメリカなどの利下げによって金利低下圧力が強まり、結局は1年後には低下しているような気がします。
実際、過去1年の日米の金利の動きを並べるとほぼ相関しています。
■日本の長期金利
■アメリカの長期金利
つまりアメリカの金利が上がれば日本の金利も上がり、アメリカの金利が下がれば日本の金利も下がるわけで、アメリカで利下げが始まれば日本の金利も下がると考えているわけです。
とは言いつつそれでも日本の金利が上がるとすれば・・・「日本だけインフレが進む」と言ったケースですかね。それもちょっと考えにくいですが。
しかしこうした予想は当たらないのが常ですし、預金者からすれば金利が上がった方がいいわけで、想定外に金利が上昇することを祈りたいと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは2月25日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=1912
〔前回のコラム〕2024年、金利は上がる?下がる?
--- Ginkou ---
24年の為替予想、緩やかに円高進む 上値120円台前半か
https://www.nikkei.com
国内外の金融機関による2024年の為替相場の見通しをみると、野村証券は6月末が1ドル=140円、12月末が135円。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は6月末が142円、12月末が138円と予想する。4日の円相場は一時146円台前半と約3カ月ぶりの円高水準をつけたが、24年末に向けてはさらに円高圧力が強まるとの見方だ。
米国では11月以降、利上げの打ち止め観測が高まった。景気の減速を示す経済指標の発表が相次いだうえ、FRB高官も利下げの可能性に言及。米金利先物市場は24年3月の利下げを織り込み出した。みずほ証券も24年3月の利下げ開始を予想。金利先物市場の値動きから政策金利の先行きを予想する「フェドウオッチ」では、5月までの利下げ確率は約9割を占める。
日本の金融政策も円高要因となりそうだ。日銀は10月31日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正し、長期金利の1%超えを容認した。市場では日銀が24年にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切るとの思惑が広がる。
もっとも、日米金利差が縮小しても日米の絶対的な金利差は大きく、22年3月の米利上げ開始直前の水準である110円台よりは円安方向の予想が目立つ。米経済が急減速を回避しつつインフレが鎮まる軟着陸期待が背景にある。軟着陸の成功でFRBの利下げ幅はインフレ率の鈍化分に限られ、米金利は高止まりするとの考えだ。米ゴールドマン・サックスは24年に「米国が景気後退に陥る可能性はせいぜい15%」とみる。
日銀の利上げ幅も小幅にとどまるとの見方が多い。米国の実質金利のプラス幅はおおむね一定に保たれる一方、インフレ率を差し引いた日本の実質の政策金利はマイナス圏を維持することが「極端な円高の進行を妨げる防波堤になる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との指摘もある。
低金利の円を借りて高金利通貨で運用する「円キャリー取引」も「下火になる可能性は低い」(英バークレイズ証券)との見方もある。日銀の緩やかな利上げペースを前提に、24年も引き続きキャリー取引がドルを下支えし、円の上昇余地は限られそうだ。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
もう1月も終わりですが、2024年の相場予想の最後は為替予想ですね。
為替予想については株価予想以上に当てるのは難しいので、あくまで参考レベルですが、上記記事は全体的には円高予想となっていますね。
ここまで歴史的な円安の要因となってきたのが日米の「金利差」ですが、今年は
・日銀がマイナス金利解除等によって実質的な利上げを実施
・アメリカが利下げを開始
という可能性が高く、とすると日米の金利差は縮まりますので、為替が円高に向かうと考えるのは自然です。問題はどれくらい円高になるかということですが、上記記事から引用するとこうなっています。
見事に散らばっていますがレンジは123円~150円で、平均値は「137円」ということですね。
為替予想は当たらない上に、さらに平均値ともなると全く根拠はなくなってしまいますが、いずれにしても今の水準から10円程度の円高は覚悟しておいた方がいいということですね。147円→137円ということは為替差損で言うと-7%。1割いかないくらいですね。
これであれば利下げによる株価上昇でカバーされそうな気もしますが、読み通りであれば今年は「株価上昇vs為替差損」の戦いになりそうということです。
とは言いつつ2023年も円高だと思っていましたが結局は円安だったわけで今年はどうなりますかね・・・。
新NISAなどの投資活況で、円から外貨への資金の流れが大きくなればそれも円安圧力にはなります。
原発の再稼働状況も為替相場に影響するでしょうね。原発が再稼働して原油の輸入が減ればこちらは円高圧力となります。
また実際には上がったり下がったりを繰り返すでしょうから、円高のピークはもっと高いものになると思います。為替差損が膨らんでも慌てず冷静に対処することが必要ですね。
いよいよ「円安バブル」は終焉するのでしょうか。だとすれば日本の富という観点からはプラスですが、輸出やインバウンドには悪影響が出るでしょうから、日本経済にはマイナスになりますね。果たして。
ということで今回の読者アンケートは、「今年は日本のマイナス金利解除とアメリカの利下げによって金利差が縮小し、円高になるのは確実なように感じますが、現在147円のドル円は1年後に円高になると思う?円安になると思う?」でいきましょう。投票は2月29日まで。
■【読者アンケート】今年は日本のマイナス金利解除とアメリカの利下げによって金利差が縮小し、円高になるのは確実なように感じますが、現在147円のドル円は1年後に円高になると思う?円安になると思う?(2月29日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=1916
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