まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「ダイヤモンド社が実施した調査では、付き合いたい銀行1位:三菱UFJ銀行、2位:楽天銀行、3位:三井住友銀行、付き合いたくない銀行1位:あおぞら銀行、2位:りそな銀行・埼玉りそな銀行、3位:楽天銀行となっています。この結果に納得できる?」では・・・
1位:納得できない 70%
2位:納得できる面もあれば納得できない面もある、どちらとも言えない 30%
となりました。1位は「納得できない」で7割ですね!なるほど。こちらも日経新聞のリテール力ランキングと同様に低い評価となりました。
確かに「付き合いたい銀行1位:三菱UFJ銀行、付き合いたくない銀行1位:あおぞら銀行」と言われると「逆なのでは?」と思ってしまいますよね・・・。
恐らく質問の仕方にクセがあったのでしょうね。
ダイヤモンド社も、「広告主であるメガバンクに忖度した」ということではないのであれば、ぜひ次回以降は納得感のある結果になるよう、質問の仕方を改善していただければと思います。
ではアンケートへの投票がまだの方は投票をお願いいたします。アンケートは11月9日まで。
〔投票〕https://www.ginkou.info/enquete/?p=743
〔前回のコラム〕ダイヤモンド社「付き合いたい銀行」調査、1位は?
--- Ginkou ---
既に債務危機と現状認識を
https://www.nikkei.com/
財政を巡り百家争鳴の状況だ。意見が割れる理由はロジックでなく、現状認識と目的にあると思われる。それらは往々にして明示されていないために、結論だけを見ると全く違うことを言っているように見える。
まず現状認識が重要だ。国家債務問題は企業の過重債務問題と本質的に同じだ。企業が過重債務のスパイラルに陥り、債務は膨れる一方の状況となれば、倒産手続きをとり、債務の削減を目指す。それには銀行借り入れなどの金銭債務のほか、労働者との間で約束した賃金を払う労働債務、退職者に約束した年金を支払う年金債務など、広義の債務が含まれる。
日本では既に年金制度は改革されている。例えば1980年ごろに社会人となった60歳前後の人の場合、現在の社会保障給付は80年当時に暗に約束されていた給付開始年齢や水準とは異なる。公務員給与も約束された人事院勧告に何度か反し水準が低くされている。
つまり広義の債務で言えば日本は債務危機のまっただ中に10年以上ある。従って債務危機は起きないという現状認識での議論や、まだ起きていないという現状認識に基づく議論は、ロジカルに構築できても、現実と合わない。むしろこの債務危機からどのように最小限のダメージで抜け出るかという議論が必要だ。
債務危機から抜け出す際のゴールは何か。まずは債務の国内総生産(GDP)比率を安定させることだ。国際通貨基金(IMF)によれば、日本の債務は持続可能でない。一時的に消費税率引き上げの効果が数年続くが、さらに手を打たなければスパイラル的に膨れ上がる(図参照)。この状況は早急に脱せねばならない。中長期的な目標は、安定化した債務GDP比を国際的なベンチマークの60%以下(EUの基準でありIMFが各国に推奨する水準)に抑えることだ。
さらに甚大な天災や国防上の危機の際は国家が乗り出さざるを得ず、大きな出費が必要となる。それに備えて新たに国債を増発できる余裕(フィスカルスペース)が必要だ。それだけに平時には積極的に債務GDP比を下げていくべきだ。基礎的財政収支は1~2%程度の黒字が求められる。
財政出動が必要という議論がある。いわゆるケインズ的な需要喚起策により経済成長率が高まることは不況下、特に失業率の高い状況から抜け出す時にはありうる。しかし現下の日本経済はほぼ完全雇用であり、需要喚起策が出る余地がない。また中長期的な経済成長には、ケインズ的需要喚起策は有効ではない。
外国、特に欧州では失業率が高く、典型的なケインズ的需要拡大の意義がある国は多い。そこで外需(例えば日本の消費)も増やしてほしいと思う国も多い。日本の家計はまだ財政に頼ってよいといった甘言をつぶやく外国の学者や政治家も多いが、注意すべきだ。彼らの国のために良いことを言っているにすぎないことが多々あるからだ。
他の先進国の外需拡大政策への協力のために、国家債務危機にある日本が財政出動をする必要はない。
※抜粋
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
消費税がようやく10%に到達しましたが、財政の黒字化はこれではまだ全然足りないですね。以前のコラムでもご案内しましたが、単純に計算すれば消費税は20%くらいまで行かないと黒字化に届きません。
>>>消費税は何%までOK?
もちろん増税を望むわけではありませんが、しかしいくら素人の筆者でも今の日本財政が「増税しなくても何とかなる」ほど甘いものではないのは一目瞭然です。
出来る限り歳出を切り詰めた上で、再び増税を進めていくしかないですね。
ちなみに上記の通り日経新聞の「経済教室」を引用させていただきましたが、その中で今後の日本の借金の見通しはこのようになっています。
増税の効果も2023年ごろには薄れ、それから再びGDP比での債務残高がどんどん増えていくという計算ですね!
しかも経済好調な今のタイミングでの見通しがこれだとすれば、今後、金融危機などで景気が大きく悪化すると、この見通しもまたより悲観的なものになりそうです。
未曾有の規模となった今般の台風被害についても、復興復旧には相当の金額がかかるでしょうしね。
そのように財政再建を目指す中で大切なのは「現状認識」であると執筆者の方は指摘しています。現状認識が共有されていないと、その解決策もバラバラなものになるからですね。
執筆者の方は現在の日本は
・年金が削減され
・公務員給与が低く抑えられている
という点から、「債務危機の真っただ中にいる」という認識で、筆者も同感です。
言い古された比喩ですが、今や赤ちゃんからお年寄りまで1人あたり1,000万円近い借金を抱えている状態ですからね。4人家族なら4,000万円です。いかに膨大な借金を抱えているのか実感する数字です・・・。1日も早く抜本的な解決策が求められます。
そのためには我々有権者1人1人に痛みに耐える覚悟が必要となってくるわけですが、それもやはり「今は債務危機だから仕方ない」という共通認識が必要だと言うことですね。
また執筆者の方は、外国の専門家が、「日本ではなく外国にとって良いことだから」という理由で日本に財政出動を促す発言をしている点にも警鐘を鳴らしています。今の日本で財政出動をしてもほとんど意味がないというわけです。これにも筆者は同感です。
その点では今回取り上げた「経済教室」の中で最も印象的だったのは冒頭のこの文章ですね。
・財政を巡り百家争鳴の状況だ。意見が割れる理由はロジックでなく、現状認識と目的にあると思われる。それらは往々にして明示されていないために、結論だけを見ると全く違うことを言っているように見える。
特にポイントとなるのは「目的」という点ですね。つまり、「日本の財政再建を願っている」人だけでなく
・日本の財政出動を促してその恩恵を受けたい人
・耳障りがいいことを言って選挙に勝ちたい人
・目立つことを言って本を売りたい人
などがおり、しかもそういった「目的」が明示されていないために無責任な議論が空中を飛び交っているということではないかと思います。
上記の通り「1人1,000万円の借金」という言葉から簡単にイメージできるように、日本の財政が危機を迎えているのは間違いありません。
甘い言葉にそそのかされず、しっかり現実を直視したいものですね。
では今回の読者アンケートは、「消費税が増税されたにも関わらず財政健全化は程遠い状況ですが、日本は今債務危機?債務危機ではない?」でいきましょう。投票は11月16日まで。
■【読者アンケート】消費税が増税されたにも関わらず財政健全化は程遠い状況ですが、日本は今債務危機?債務危機ではない?(11月16日まで)
https://www.ginkou.info/enquete/?p=748
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